お待たせいたしました、お嬢様。
ご所望の……ってオイ、茶葉が違うじゃねェか!
お嬢様のご所望なさったのはアールグレイじゃなくてセイロンだろう!
茶葉とり違えた奴、前出ろ前だァ!
……いえ、お嬢様がお気を回されることではありません。
主君の願い一つ叶えられぬとあってはこの小十郎執事の名折れ、
腹を切って詫びをせねばなりませぬ。
「こ、怖いでござる……っ」
「いいから旦那、早くこっちの茶葉持って行きなさい。
右目の旦那には旦那が間違えたんだって事黙っててあげるから」
「うう……承った」
おう、やっと来たか。遅ェんだよ。
さてお嬢様、茶葉はこちらでよろしかったでしょうか。
それからこちらは、軽食の野菜サンドイッチになります。
美味いでしょう?
材料に、小十郎の育てた野菜をふんだんに使っております故。
……は?育てる時のコツですか?
植物ってェのは心を込めて育てるもんですからね。
お嬢様に喜んでいただけるよう祈りながら、心を込めて作るだけですよ。
「Hey幸村、またやらかしたんだってな」
「ま、政宗殿!」
「猿飛が黙ってたって、俺が言ったらどうなる?」
「うっ……お、お願い申す、この事は内密に……」
「Ha!やなこった。おーい小十郎ー!」
「政宗殿ぉぉぉぉ!!」
何だうるせェぞ真田!
それに政宗様も、私の接客中はお静かにと申し上げた筈でしょう。
で、真田、やらかしたとは何の事だ?
お嬢様、申し訳ありませんが急用が出来てしまいました。
一度席を外させていただきますが、ご用の出来ました折は何なりとお申し付け下さいませ。
任侠系:片倉小十郎