シリフ霊殿
Schild von Leiden

執事喫茶BASARA
 お待たせしました、お嬢様。
 ご所望のナポリタンで……っ、ゴホ、ゴホッ!
 ……ああ、大丈夫だよ。
 心配掛けてすまないね。
 でも、いつもの持病の発作だから。

「政宗ー竹中さんがまた吐血したぜー」
「Again?後で雑巾でも渡して自分で拭かせろ」
「た、たたっ竹中殿!お身体を……」
「放っとけ真田、ありゃ心配するだけ損だ」


 心配してくれるのかい?お嬢様は優しいね。
 でも本当に大丈夫なんだよ。
 それに、例えば僕が入院でもして、君の傍からいなくなってしまったらどうする?
 僕はこれでも君の世話係で、言わば君の一番近くにいるべき存在なのだけれどね。

「旦那ー、向こうのテーブルにこの雑巾持ってって」
「うむ、し、しかし竹中殿が……」
「大丈夫大丈夫、吐血した直後にあれだけ喋れるんだから。
 あ、あとこれ代わりのナポリタンね。向こうの多分血がかかっちゃってるから」
「……こ、心得た」


 分かったかい?
 お嬢様は一介の執事の事なんて気にかけず、ただ黙って僕らにお世話されていればいいんだよ。
 何故ならそれが僕らの幸せだからさ。
 僕だって自分の身体に心配がない訳ではないけれど、
 そればかり気にしてお嬢様のお世話ができなくなるのはもっと嫌だから



病弱系:竹中半兵衛
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