シリフ霊殿
Schild von Leiden

執事喫茶BASARA
 よっ、と。
 持って来たぜ、お嬢様。
 このケーキとこの茶でいいんだよな?
 ちょっと待っててくれよ、確認するから。……よし、合ってる。
 いやー、最近よく注文取り違える新人がいてさ。
 他人の間違いで俺も一緒に怒られるとか嫌だろ?

「も、申し訳ござらぬ前田殿……っ!」


 注文はこれで全部だよな?
 そんじゃーまたご用の折に……といきたいとこだが、
 こっからはちょっと仕事外の話。
 あんた、俺と恋してみる気ない?
 うん、勿論分かってるよ。
 あんたはお嬢様で、俺は執事。身分違いってやつだ。
 店を出ればともかく……っと、これは言っちゃいけねえか。
 けどさ、恋って障害があればあるほど燃えるもんだろ?
 例えば身分が違うとか、立場が違うとか、邪魔者がいるとか。
 あんたとならきっといい恋ができると思うんだけど、
 どうだい?

「竹中、早うあの阿呆を止めよ」
「言われなくてもそのつもりだよ。
 慶次君!お嬢様を唆さないようにと、これで忠告するのは何度目だい?」


 おっと、噂をすれば影がさすってね。
 早速邪魔が入っちまったみたいだ。
 けどお嬢様、今の話考えといてくれよ。
 考え決まったら、何か口実作って呼んでくれればいいし。
 じゃーな!



ナンパ系:前田慶次
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