お待たせ致しました、お嬢様。
ご注文のベリータルトですよ。
私が作ったものなのですが、どうです?この赤。
まるで貴女の血の色の様な……
おっと、失礼。美しい色でしょう?
「おい、誰だあいつ接客に出したの」
「それが……自分の料理は自分が出すって、無理矢理……」
「何だそりゃ、他の客だと俺らに運ばせる癖に」
「こないだ元就も似たような事してたぜ、確か」
……どうも蝿がうるさいようですね。
お嬢様のお食事に止まると厄介ですし、今の内に鎮めておきましょうか。
おや、お止め下さるのですか。優しいですね。
大丈夫ですよ、蝿が苦しむのはほんの一瞬ですから。
でも、そうですね、お嬢様が嫌がるのでしたら、
今回だけは止めにしておきましょう。
「な、ナイスフォローお嬢様……」
「今のあいつマジだったぜ。目が」
「へんだ、若造達こっしぬけー。おーい変態ー料理の注文きてるぞー!」
おやおや、もう注文が来てしまいましたか。
簡単な料理は政宗公に任せておいた筈なのですが……
仕方が無いですね。
直ぐに片付けてきますので、お嬢様はそこで待っていて下さい。
後で貴女にも極上の料理を届けて差し上げますよ。
直ぐに……ね。
ダーク系:明智光秀