「政宗と幸村は周囲の森と山を、元親と佐助は都の通りを中心に探せ。
範囲が広いからといってあまり当てずっぽうには動かず、妖の気脈・気配に常に気を配るように」
「心得た!」
「見つけたら決して目を離すな。周囲に他の妖が居ない事を確認した上で、速やかに皆に知らせよ」
「はいはいっ」
「で?元就さんは何処を探すんだ?」
「勘だ」
「さり気にお前が一番当てずっぽうじゃねえかオイ。」
大通りに出ている市を眺めた後、人気の少ない山の端に入る。
妖が出るかもしれないとは思ったが、懐に札を入れているし多少は平気だろう。
「このままほとぼりを冷まして、隙を見つけてそ〜っと屋敷に・・・」
「誰にも気付かれずに帰れるとは思わぬ方が良いぞ、主」
「うっきゃあ!もっ元就!」
「余り我らの目を盗もうとは考えて欲しくは無いな」
「いっいや、悪気はないんだよ?ただちょっと皆に内緒で瓜でも買って帰ったら喜ぶかなって」
市で買ったらしい瓜を片手にわたわたしている主を見ては怒る気にもなれず、
元就は黙って深い溜息を吐いた。
「お、怒っ、た?」
「・・・いや」
「じゃあ、心配した?」
「してないとでも思うか?」
「・・・ううん。ごめん」
心配するのは当たり前だ