「あのさ」
けほ、と咳を一つ。
「馬鹿は風邪ひかないって言うよね」
「・・・何でこの状況下で言うのか説明してもらおうかな、ご主人様」
今年幾度目かの風邪で寝込んだ主人と、その看病に追われる従者(計五匹)。
額に当てた布を取り替えていた佐助の額に、ほんの一瞬だが青筋が浮かんだ。
「いや、あたしにつきっきりで看病してくれてるのに皆結構平気そうだなぁって」
「あのねえ、人間と妖はかかる病気も違うの!傍に居たって人間の病気が移るとは限んないの!」
ていうかその俺らがいかにも馬鹿みたいな言い方しないでくれない。
「ごめんごめん後さぁ」
「何?」
「普段皆から馬鹿とか阿呆とか言われてるのにあたしは風邪ひくなぁって」
「・・・えーと」
謝れば良いのか慰めれば良いのか。
「Master、とりあえずその馬鹿は風邪ひかねえってのは迷信だからな」
「あ、やっぱりそうなの?」
馬鹿の寄せ集め