シリフ霊殿
Schild von Leiden

歪なスキとキライ
 不用意な一言が人を傷付ける事もある。
 それは怒りや憎しみといった負の感情を生み、間に生じた軋轢は対立を生む。
 そしてそれは同じように言葉一つで戻ったりはしない。
 そんな事は全世界に武力介入をしている自分達が一番良く分かっている。

「君には失望したっ!」
 だから彼がそんな捨て台詞を残して食堂を出て行ったとしても、
 #ナナは追う事も無くただぼんやりとその背を見つめていたのだった。





「何だ、喧嘩か?」
 こういう事態に真っ先に首を突っ込んで来るのはロックオンだ。
「いや、別に喧嘩というか……何もしてないし」
「幾らティエリアでも理由も無く怒る訳無いだろ」
 向けられると怖いティエリアの剣幕も、自分に向かなければどうという事は無い。
 #ナナの周囲には自然とその場に居た人間が集まりつつあった。
「何かしなくても、何か言ったとか」
「えー……日本食が恋しいから今度日本に連れてってぐらいしか」
「日本?」
「うん、前に食べたら癖になってねー」
 一同の頭にはスシかテンプラぐらいしか出て来ない。
「それでどんな料理だって聞かれたから、ご飯食べながら説明した」
 ら、あんな事に。
 言いながら片手で端末を弄り、画像を出して表示させる。ティエリアにも見せながら説明していたのだろう。
「これが活造りでー、これが蛸の踊り食いでー、これが……」
「……なぁ、#ナナ」
「うん?」
「ティエリアって生き物の形した食べ物大嫌いだって知ってるか?」
「ごめん、今初めて知った」



設定を聞いた時かなり萌えたので
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