シリフ霊殿
Schild von Leiden

俺の嫁
 真選組のトップ二人の前で、妙にかしこまった私と総悟ちゃん。
 ドキドキするけど、ここまで来た以上は後には引けない。
「は、初めまして、です」
「おう、総悟からいつも話には聞いてる」
「……」
 ちらりと横目で隣を見る。
 いつもの飄々とした顔が今日はすごく真剣そうで、私が何の為にここへ来たのかを再認識させられる。
 やるしか、ないんだ。
「っお願いします!」
 ばんっと畳に両手をついて頭を下げる。
 向こうはもう予期していたのか、驚いた声も上がらない。
「総悟ちゃんを、お嫁に下さいっ!」
「「「はァ!!?」」」
 ……アレ?何故にかぎかっこがみっつ。

「……あ」



「ごめん、本当にごめんっ!!」
「別にいいぜィ……もしもそれが本当にの望みだって言うなら……
 俺ァ立派に角隠しつけて三々九度の杯飲んでやらァっ!!」
 いやもう『お嫁にして下さい』を言い間違えたばっかりにマジごめんなさい。
 だからそんな溢れる涙を拭いながら決心したように叫ぶのはやめて下さい。
 ちなみに総悟ちゃんは神前結婚希望なんだね、了解。
 でも指輪の交換はしようね。乙女の夢だから。
「総悟……綺麗になったな……」
 そこも早々と花嫁衣裳着た新婦にかける言葉の練習しないで下さい局長殿。
 結婚の許可もらえたのは嬉しいけど今ここで涙ぐまれても困ります。
「いいか総悟、泣かされるような事があったらすぐ帰って来いよ。ここはいつまでもお前の家だ」
「へっ、んな事ァ絶対にありやせんや。そうだろ、アンタ」
 だからその新婦にかける言葉はやめて下さいって副長殿。
 アンタまでそんな涙ぐまれても困りますから。
 そして総悟ちゃん、その呼び方微妙に引っかかるんだけど気のせいかな。
「沖田隊長、お幸せに……」
「おう」
 山崎お前はどっから出てきた。
 総悟ちゃんも何故か山崎にだけは尊大です。
「そういえば式は何処で挙げるつもりなんですか?」
 そしていきなりその話題か。
「え、あ、ああそうだねえーっと、私は総悟ちゃんの希望聞いて考えようと思ってたんだけど……」
「屯所」
「ウチにそんなスペースありませんよ。ていうかアナタ経費削減したいだけでしょう」
「ひっでェ山崎、俺が折角の晴れ舞台に金惜しむとでも思ったかィ」
「じゃあ何なんですか」
「会場借りんの面倒臭ェだけ」
「いやそれも十分酷いですから!!」
「あと廊下が長いからバージンロードの歩き甲斐があんのとー」
「お願い総悟ちゃんもうそのネタ引っ張らないで」



沖田の口調をまだつかみ切れていない感じがしますね
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