シリフ霊殿
Schild von Leiden

対抗種
「別にそう首を傾げる事でも無いじゃない?」
 光と闇。
 決して交じり合う事の無い、相反する属性。
「光の中に闇があってはならないし、闇の中に光があってはならない。
 そこへ無理矢理互いを捻じ込んでみれば、こんな結果になるのは当然でしょう?」
 #奈々の攻撃が掠っただけで、元就の身体には激痛が走った。
 浅手に見えた傷口は見る間に広がり、緑の装束を赤く染めていく。
「光は闇を消し、闇は光を消す。相手に与えたのと同じだけ、自分も傷付くの」
 武器を構えた#奈々の手が火傷のように爛れて居るのが見える。
 先刻には明らかに無かった傷だ。
「触れる度貴方はあたしの闇に呑まれ、あたしは貴方の光に焼かれる。
 さ、どっちが先に死ぬかしら」
 自らを闇と名乗った少女は、そう言ってただ笑っている。



「・・・知れた事」
 自分と同じだけ傷を負うという事は、相手も同程度の苦痛を感じているという事。
 #奈々の余裕をただの強がりと判断し、元就は輪刀を構えた。
「貴様如きが日輪に適う筈が無い」
 ふ、と#奈々の口から吐息が漏れる。

「あたし、貴方のそういう所好きよ」



ダブルクロスのDロイスをお題にした企画
前<< 戻る >>次