シリフ霊殿
Schild von Leiden

木犀の憂鬱3
 雨が続いたかと思えば今度は日照り。
 梅雨の後に夏が来るのは日本の四季として当たり前だから仕方が無いけど。
 そんな訳でこの人は相変わらず元気が無い。
「あのーそんなに暑いならカーテン閉めるとか日光浴止めるとか……」
 窓際で椅子に凭れ掛かるようにしてぐったりしてたからそう言ったら睨まれた。
「そのような不敬が出来るかっ!」
「はあ」
 どんなに暑くても光合成は欠かさないんだなーと思ってたんだけど、
 既に生命の源とか大好きとかそういうのを通り越してるのか。
「じゃあえっと、冷房入れるとか」
 とりあえず妥協案を出してみる。
 が、露骨に嫌な顔をされた。これも駄目なのか。
「……嫌なんですか」
「涼しいのは嫌いではないが……葉が乾くであろう」
 あ、やっぱ単なる我侭なのか。
「誰かが逐一霧吹きで万遍無く湿らせて呉れるというならば入れても良いが」
「すごく遠回しですけどそれあたしにその役をやれって言ってますよね」
 傍目から見ると保健医にヘアスプレーをかけつつ櫛で髪を梳かす女子学生か。
 どんな禁断の関係だろうそれ。
 というか保健室に冷房入ってようが入ってまいがあたしには関係無いんですが。



人外ネタ大好き第三弾
前<< 戻る >>次