「貴様、何故我と寝るのか考えた事はあるか」
「いや無いけど」
「性欲処理ならば女の方が良かろう。同性愛者でもあるまい」
「まぁそりゃ確かに……ってかそれじゃ元就はどうなんだよ」
「『饗宴』という古代ギリシアの本があるのだが」
「唐突だな。……つか言っとくが俺は読んだ事無いからな」
「その中に人間はかつて二人で一人であったという話がある」
「え、何それ合体?」
「例え話だ。それぞれ男と男、女と女、男と女という三つの性別を持ち、
神によって分かたれるまでは背中合わせの姿で地を歩いていたという」
「……で?」
「割られた後も人間はかつての半身を探し求める。それがいわゆる伴侶なのだが、
この時伴侶に異性を選ぶのは、かつて異性と対になっていた者だけなのだそうだ」
「結局何が言いたいんだお前」
「……もし我らがかつて互いの半身であったとしたならば、
我らのこの不可解な行為にも全て得心がいくとは思わぬか」
「あー……」
「どうした」
「何か今ものすごい口説き文句を聞いた気がしたんだが」
「……そうか?」
「まぁ、少なくとも俺的には」
男主人公ならそれなりの理由と雰囲気が欲しい派