戦の後、焼け落ちた村々をめぐって歩く。
死体と炭ばかり、黒と赤で埋め尽くされた景色は、見ていて気が滅入る。
その上歩いている理由が敗残兵を見つけ出し斬り捨てる為だというのだから、
歩き続ける内自然と心も荒んで来ようというものだ。
戦闘の後という事もあり、神経は研ぎ澄まされている。
人の気配が、肌を通して直に感じられる。
「何者だ」
そんな元就が見つけたのは、
「ど、どなたですか……?」
一人の少女だった。
否、少女と表現するには余りにも幼すぎるかもしれない。
「あたしのかあさま、どこにいるのかしりませんか……?」
舌足らずな口調で、おずおずとそう尋ねる。
「かあさまがどこにもいないの。こんなにさがしてるのに、どこにも」
辺りには黒く焼け焦げた死体や飛び散った肉片が散乱している。
この中の一つがこの娘の母親なのであろうと、見当はつくが確信は持てない。
持った所で口に出して言う事など出来ないだろう。
「……其方、名は」
「……」
尋ねれば少女はたどたどしくもしっかりと自分の名を答えた。
「で、敗残兵の代わりに拾って来た訳か、そいつを」
「……如何すれば良いのだろう」
「如何も何も、拾ったからには面倒見ろよ。
猫の子じゃあるまいし、元に戻してくる訳にもいかねえしな」
「……」
少女は元就の腕の中で静かに寝息を立てている。
連載作品にしようとして冒頭で挫折したやつ