シリフ霊殿
Schild von Leiden

悩みん棒
「チカたんチカたん」
「ンだよ」
「毛利様の事何て呼べば良いと思う?」
「は?」
 いやあの、そんな露骨に顔しかめないでもらえませんか。
 こっちだってこっちなりに真剣なんですよ。
「お前、この間まで毛利様とかナリたんとか好き勝手呼んでたじゃねえか」
「ああうん、ナリたんは予想以上に不味い事が判明したので却下」
 ほら、チカたんがこないだまで頬腫らしてたアレ。あの時思い知ったのですよ。
 かといって普通に毛利様じゃ毛利様が怒るので。
 あたし的には全然毛利様で構わないんですけどね、慎むくらいはしようかなと。

「で、どうすりゃいいと思う」
「どうも何もよ……」
 チカたんはこないだの事を思い出したのかちょっと嫌な顔をした。
の好きなように呼んでやりゃ良いじゃねえか」
「それが、あたしが好きなように呼ぶと大体毛利様になっちゃうからね」
「じゃ下の名前で」
「駄目ですよそんな恐れ多い!」
「……何でアダ名が良くて下の名前は駄目なんだ?」
「何ででしょうね」
 あたしにも謎です。
 毛利様は良くても元就様って呼ぶのは駄目なんですよ。(あ、勿論呼び捨てよりはましだけどね)
 多分こっ恥ずかしいんだろうね。うん。
「えーと……ズッキーニとか?」
「何だそりゃ」
「駄目なら獅子唐とかー青唐とかー青唐だからぷこち。あ、ぷこち可愛い」
「だから、何でそんな青くて長い野菜ばっかなんだよ」
「や、オクラじゃありきたりだろうと思いまして」
「……消されっぞ、お前」
「じゃあ釣り針」
「とりあえずこれ学園パラレルだからそこら辺の発想から離れろよ」
「えー」



勢いで書けばいいというものではない
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