シリフ霊殿
Schild von Leiden

公開処刑
 日輪よ、これは貴殿が我に下した罰であろうか。
「元就様、ごめんなさい」
 戦場にて数多の命を散らした、これが報いであろうか。
「私もう、お供できそうにありませんね……」
 守るべきものの為なら何を駒にしても惜しくなどないと(そう、この自分でさえも)
「せめてあと少し、そう、せめて一人は」
 思って、いたのに
「貴方様の子を孕みたかった、ですのに」

 (嗚呼何と云う事か、その守るべきものを失う事になろうとは)



「私は、戦は好みませぬ」
 常々そう漏らしていた事は知っていた。
 戦を好まぬ事も、我が戦に出る度に心を痛めている事も。
「如何して男の方は、争いがお好きなのでしょうね」
「私は天下など無くとも、元就様の傍に居られれば十分ですのに」
 だから戦を失くす為に戦った。邪魔をされず傍に居る為に戦った。
 それなのに何処で間違えたというのだろう。



 冷たくなった彼の人の懐から守り刀を抜き取る。
 我がこれを買い与えてやったのは、何時の事であったろうか。
「……所詮、人などただの駒よ」
 向こうから聞こえてくる地響きは敵兵のもの。
 ここへ到達するのもそう遠くはあるまい。
 焦らずとも、貴様らが此処へ到達する頃には恐らく全てが終わっている。
 魂の抜けた殻など、斬るも焼くも好きにすれば良い。
「案ずるな、一人では逝かせぬ。
 この毛利元就、其方の駒として、冥土までの供をしようぞ」



初めて書いた元就様なんですが何でここにあるんだ
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