「お邪魔しま〜……何だ、お前かよ」
机に向かって筆を動かす後姿に向かって声をかけると、肩がびくんと震えた。
多分本人は己の主に化けたつもりなんだろう。
実際見た目はかなりそっくりなんだが、
ちょっとでもこいつらを知ってる人間が見れば一目で分かるに違いない。
何つーか……そもそも雰囲気が違いすぎんだろ、お前ら。
元就も何でこいつに影武者任せようと思ったのか……主従揃って妙なとこ抜けてるよな。
「元就何処行ったんだ?厠か?」
「なっ何の事ですかぁ?あたしが……違、我が毛利元就ぞ!」
バレバレだっつーの。
この忍びも主に負けず劣らず予想外の事態に弱い。
しかも焦って取り繕おうとすればするほどボロが出るというおまけつきだ。
「ほ〜ぅ、お前が毛利元就か……」
折角なので少しからかってみることにした。
「証拠でもあんのかい?」
「はうぅ!?え、えーと、そだ、に、にちりんにささげたてまつらんっ!」
いきなりバサラ技かよ。
「あとえーっと、つかえぬぐみんどもめしずむがよいっ!」
「アンタの中で元就ってそんななんだな……」
「あうぅぅぅぅ……」
「わぁぁ、わ、悪かったよ、謝るから元就の姿のまま泣くなって!」
流石にやりすぎたらしい。
背を叩いてあやしてやっていると、急にすごい勢いで胸倉を掴まれた。
「元親殿、ほ、本物の元就様にはこの事絶対内緒にして下さいね!
こんな失敗したのがばれたらあたし、く、首にされっ……」
「あー分かった分かった言わねえから」
ところで、本物の元就何処?
設定が気に入ったので続いた