シリフ霊殿
Schild von Leiden

拾て猫
 冷たい雨の中、段ボール箱の中で震える猫。
 段ボール箱には下手くそな字でなにやら書いてある。

 『捨って下さい』

 ……さて、どうするべきか。
 これはこのまま捨て置いて欲しいのか、それとも拾って欲しいのか。
 それが問題だ。
 横にペンが転がっている事からしてこの猫が書いたと思われなくも無いが、
 それでは可哀想な事にこの猫は人間様の言葉を覚え間違えたようだ。
 ていうか漢字書けないんならいっそ平仮名にしておけ。



「べくし!」
 そうこうしている内に猫が段ボール箱の中でくしゃみをした。
 言っちゃ何だがおおよそ猫らしくないくしゃみだ。
「あー、寒ぃ……」
 肩を抱いて震える猫。降りしきる時雨は小さな身体にはきついだろう。
 しかし君の場合肩より乳首を隠した方が暖かいと思うのだが私の気のせいか。
「寒くて、眠」
 ……だっ駄目だ!寝たら死ぬ!
 思わず傘を差し出すと、猫は震えながら「すまねぇな」と言った。



元就で猫化を書いた時に元親でもやってみたもの
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