シリフ霊殿
Schild von Leiden

女の子は可愛いもので出来ている
「でよ、ここが……」
 ああ、うるさい。この男のメカ談義はいい加減聞き飽きた。
 第一学校にガンプラを持ってくるのは校則違反だろうが。
 というかそれ以前にお前は共通の話題を作ろうという考えが無いのか。
 どうせガンダムの話をするならあれだろう、幸村。何でだ。
 自身にツッコミを入れつつ視線を目の前の男から逸らすと本当に幸村が居た。
 ああ幸村はほんと可愛いよな、この男と違って。
 あの走るとひょこひょこ揺れる尻尾のような髪とか、無邪気な笑顔とか、
 何より丁度今両手でメロンパン持ってもぐもぐやってるのが可愛い。
 ああ、頭撫でてやりたい。
 手の届く位置に頭があったので欲望通り撫でてやると、「くすぐったいでござる〜」と言って笑った。
 ああ、可愛い。
「全く、君は何時まで経っても子供のようだね」
 あ、半兵衛。半兵衛も好きだ、綺麗だから。
 顔ちっちゃいし肌は白いし睫毛は長い。
 外人だったらきっとジョルジュとかそんな名前だぜ。
 惜しむらくは眼鏡だな。レンズ越しだとよく睫毛を観察できない。
「……何だい、あまりジロジロ見ないで貰えないかな」
「竹中、放っておけ。そやつが奇怪な行動をとるのは何時もの事であろう」
 元就か。元就も良いんだよな。
 顔は半兵衛ほど綺麗じゃないけど、身体はちゃんと白いし細いし。
 というかこいつは細すぎだろ。腕にー足にー腰にー尻にー
 男の癖に腰がここまでくびれているのはぶっちゃけ異常だと思う。
 つーか綺麗な尻してんだよなこいつ、スラックスとか穿いたら良いラインしてそうだ。
 ……この距離なら射程範囲内に入るかな。ちょっといっぺん撫でてやりたい。
 撫でるのが駄目ならせめて揉んでやりたい。あの細腰に腕を回して思う存分。
「っ……な、何だ、悪寒が……」
「つーか、おい!お前俺の話聞いてんのかよ!」
 ……はぁ。
「元親もあんな風に育てば良かったのに……」
「ちょ、それどういう意味だ!」
「別に」
「ひっでえ!泣くぞ俺!」
「泣けよ」
 あ、ほんとに泣いた。キモイ。
「やかましい上に不愉快だ。黙らせよ」
「あんたの尻揉ませてくれたら黙らせてあげる」
 あ、逃げられた。つまらん。
「ちーかーうざいぞこらぁー」
 言われなくとも喧しいので髪を掴んで強引に顔を上げさせる。
「……だってよぅ、俺の事嫌いなんだろ」
「嫌いじゃないよ、可愛くないから興味が無いだ……け……」
 あ、こいつ意外と睫毛長い。涙の雫が上に乗る程度には。
 可愛いな。もう少し付き合ってみてやるか。



どうやらうちの元親は扱いが酷いのがデフォのようです。愛はあります
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