シリフ霊殿
Schild von Leiden

伊達政宗の忍者試験
『俺に膝をつかせれば合格だ。一人前だって認めてやるよ』
 アララいいの、そんな事言っちゃって。
 目的の為には手段を選ばないって、忍びの鉄則ですヨ?

 正々堂々手段を選ばず真っ向から不意討ってご覧に入れましょう。



、政宗様に何をした!」
 わぁ、こじゅろがこわ〜い。
「だってムネ様が膝をつかせてみろとか言うから」
 足の腱切るのが一番確実なんだけど、流石にねえ。
 (第一ムネ様と刃物で渡り合ったら勝ち目ないし)
 だからとりあえず搦め手でいってみました。
「何をしたと聞いている」
「え、いやぁムネ様が大声張り上げようとなさってたんでね」
 すうっと息を吸い込むその刹那に、
「コレも一緒に吸わせただけです」
「……何だこりゃ」
「粉砂糖」
 京から特別に仕入れた上等の三盆糖ですよ。
 うっかり喉にいくと相当むせる。(実体験に基づく)
「テ……メ、っ……!」
「あああムネ様無理して喋っちゃ駄目ですよぅ。せめて水飲んでから……」
「うるせ、おま、卑怯……っ!」
 げふげほがはげへごほ。
「ほらあ」
「ほらあじゃねえよッ!」
「でも、膝はつかせられたでしょう?」
 ムネ様むせて転げまわってましたもんね。
「もうあたしの事未熟者とか言わないで下さいね。約束ですから」
「何か腑に落ちねーんだが……」
「そうですか?」
 やり方が間抜けすぎましたか。
「ムネ様にうっかり傷が付かないように気をつけた結果なんですが」
「……」
「どうかしました?」
「何でもねえよ」
「はあ」
 何でもありそうなんですが。
 まあ、いいか。



そこはかとなく西尾維新
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