シリフ霊殿
Schild von Leiden

少年K
 友達と話をしていたら、滅多に学校に来ないアイツが扉を開けて入って来た。
 あれ、あいつ名前何だっけ。
「退け」
 丁度あたしがそいつの席の上に腰を下ろしていたらしく、かなり尊大な態度でこちらを睨み付けて来る。
「あーお早うえっと……」
 やっべこいつ本気で名前何だったっけ。
 別に態々挨拶する必要なんて無いんだけど、挨拶がてらその上から目線に一言文句を言ってやりたい。
 いや、他人の机に座ってたあたしも悪いんですが。
 というかそれ以前に本気で名前が思い出せないんですが。
 確か脳味噌の部位の名前だった気がするんだ。
 で、あたしにも覚えてられる程簡単な名前の部位。とすると候補は絞られるな。
「えーとお早う、大脳新皮質君」
「は?」
 流石に違うか。
「あ、違った?じゃあえーと、間脳視床下部……間脳は要らないかな、視床下部君」
「俺はそんな漢字四文字もある奇妙な名前では無い」
「お前全国の長曾我部さんに謝れ。凄絶に謝れ」
 あと香曾我部さんにも謝れ。
「しかし三文字以下か……前頭葉後頭葉側頭葉脳髄延髄小脳中脳」
「名などどうでも良い、さっさとそこから退け」
「うんじゃあ適当に呼ぶわ。机に座ってごめんねビバチョフ・Q・里見沢君」
「貴様俺を馬鹿にしているのか!」
「よく分かったねビバチョ……」
「その名で呼ぶな!」
「よく分かったね大山田川ロドリゲス君」
「適当に付けるな!」
「フッ仕方が無い、それでは貴様を下僕と呼ぶ他無いではないか」
「誰が下僕だっ!!」



「おーいに海馬、授業始めるぞー席に着けー」
 ああそうだ、海馬だったわ。



実はコミックス読んだことがない社長
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