ようやっと暇が取れたから、自室に帰って即シャワー室に篭った。
なにぶん何時暇になるか命の危機になるか分からない身の上だから、
こういうのは入れる内に入っとかないとね。
「ふぃ、サッパリ」
シャワー室の扉を薄く開けてタオルを取・・・ろうとして、無い事に気が付く。
やっば、出しとくの忘れてた。
「うぇ〜取りに行けってかよぅ」
まぁ自業自得だからしょうがない。濡れた身体のままとてとてと外に出てタオルを探す。
自分の部屋に自分一人だし別に気にしなくても良いよね。
えーと確かここに・・・あれおっかしいな、もう一個向こうだったっけか、と
「#ナナ・#ヘヴンフィールド」
「おぎゃあぁああぁぁぁぁ!!」
よりにもよってこのタイミングで入って来るかこのやろおぉぉぉぉ!!
いやまぁ確かに勝手知ったる何とやらって言葉はあるけど、
それにしたってもう少し気遣いってものがあっても良いと思うんだ。親しき仲にも何とやらとも言うし。
数日忙しかった後の余暇、女の子がまず何したがるかなんて察しが付くだろう。
いやこいつ変なとこ知識無いから察し付かないかも知れないけど強引に付けろ。
というか少なくともノックぐらいするとかさ。外から一声掛けるとかさ。
いきなりぷしゅんとドア開けて入って来るのは反則じゃないんですか。
自業自得?自分の部屋でくつろいでて何が悪いっての。
「あわばばばばとりあえずちょっと待って待って」
いやそんな事よりとにかくこの状況下を何とかせねば。
慌ててタオルを探しながら、片手で待ってとジェスチャーを伝える。
ええと確かこの辺にあーもーどうしてこういう時に限って手間取るんだー!
「スメラギ・李・ノリエガからのミッションプランについてだが」
「ばっ、ちょっと待ってっつってんでしょー!?」
しかも何で入って来た時の姿勢のまんま正面向いて淡々と話してんの!
健全な男子なら目逸らすとか赤面するとか鼻血出すとか何か反応するでしょ!
つーかこっち見んなおい!
「話も聞けない程忙しい状況には見えないが」
「忙しいよ他人の目の前で裸なんだよ察しろよこのやろー!」
「心配しなくとも性的関心を向ける事はしない」
「それはそれで何か悔しいけどそうじゃねーよそれ以前の問題だよ!」
エロい気分になるとかならないとかそれ以前にこっち見んなよ!
空気読解能力と良心があるなら恥ずかしがってる人間から目を逸らしてやれよ!
「文句を言う前に身体を隠したらどうだ」
「うっさい黙れお前が言うな!」
ああもう何ださっきからあたし叫びっぱなしだよ。
「俺が関心を覚える前に早く隠せ」
「・・・」
何こいつラシャーヌ?意識的に神経速度を遅く出来るとかそんな?
いやそれ以前に何かもうちょっと突っ込むべき所があるようなえーっと
「・・・うん、分かった」
とりあえずさっさとタオル探そう。
「ああうん、このミッションに関してならシミュレーションの準備整えてあるよ。
ミッション本番までには時間があるから、明日辺りやるんだった筈」
適当にその辺にあった服を着て、まだ湯気を立ててる髪の毛を拭きながら応対する。
「詳しい予定時刻は決まっているのか?」
「待って、今調べる・・・1300」
「了解した」
「ん」
しかし憎らしいまでの無表情だなこいつは。
性的関心とやらを向けられても腹が立つけど、全く向けられないのも悲しい。
「ていうかあれだあのー・・・さっきは怒鳴り散らしてごめん」
「問題無い」
「あっそう・・・」
そりゃ確かに問題起こすようなもんじゃないけどさ。
ここまで無関心だとやっぱちょっと悲しいんだなー色々と。
まぁティエリアだし、と諦めた心地でいると、いきなり当人から声をかけられた。
「・・・君は、普段からああなのか?」
「はい?」
「普段からあのように、人前に裸体を晒しているのかと聞いている」
お 前 が い き な り 入 っ て 来 た か ら だ ろ う が
いやいやいやここで熱くなったらさっきの二の舞だ落ち着け。
相手はティエリアなんだ感情的になるだけ無駄なんだ落ち着け落ち着けふぅ。
「あー・・・まぁ自分から見せに行ったりはしないよ?そこまでアレな女じゃないよ?
今回はただシャワー上がった途端にあんたが入って来ただけ」
確かに割と風呂上りタオル一枚で部屋の中うろちょろするけどさ。
「・・・そうか」
「うん」
「しかし、今後は気をつけろ。必要以上に他人に肌を見せる事は推奨されない」
だからそれはあんたが・・・もういいや。
「そうだねー見せるのはティエリアぐらいにしとくわー」
無反応なティエリアならともかく、他の人間に見せるとセクハラだしね。
特にロックオンとか刹那とかあの辺。
「・・・っ!」
「ティエリア?」
何だ今のぼしゅんって音は。
「ティエリア、顔赤いよ?ティエリアー?」
何、まさか神経速度遅くしてたのが今頃来たとか?
元ネタが分かる人と一緒にお酒が飲みたい