シリフ霊殿
Schild von Leiden

プレシャス・プレシャス・ジュエリー
「だって死ぬような思いでオロチを倒してタカマガハラに帰って来たミー達だよ?
 出迎えの第一声が『あ、何だ生きてたんだ』って酷くないかい!?」
「わぅ?」
「ミーとしてはもうちょっとこう、溢れるようなスマイルで『お帰り』とか・・・」
「わんっ」
「……あぁもうアマテラス君は優しいなぁ、あの子の代わりにミーの癒しだよ」
「喧しい慈母が穢れるお前だけさっさと月へ帰れ」

 がすっ。 (神骨頂投げつけられた)



 二百年振りに帰還したタカマガハラは思いの外平和だった。
 宿敵は滅び、壊滅からそれなりに時間が経っている事もあって、
 今はヤマトに乗らなかった天神族と『彼女』、そして帰って来た大神によって、天の国はほぼ完全な復興を遂げたのだった。

「という訳でお前の役目はもう無い月へ帰れ」
「その時はユーも一緒だよ」
「いや、私はまだここに残って慈母のお世話をしなきゃならないから一人で帰れ」
「分かった、つまりミーもそのお手伝いをすれば良いんだね?」
「お前が寄ると慈母が穢れると言っただろうがとっとと帰れリターントゥザムーン!」

 ばこっ。 (中神骨頂投げつけられた)



「大体さぁ、……皆死んで何であんただけ残ってんのよ」
 ウシワカに投げつけた慈母のおやつを消毒しながらぽつりと呟く。
 彼自身その事を気にしているのは承知だったが、言わない事には収まらない。
「ミーが死んだらユーが悲しむと思って……なんて言ったら怒るよね?」
「大神骨頂投げつけられたくなかったら二度と言わないで」
「アハハハハ、ソーリィ」
「あ、やっぱ腹立ったから投げるわ」

 どがっ。 (大神骨頂投げつけられた)



「……ミーも危うくジ・エンドになる所だったんだよ」
 流石に大神骨頂は痛かったらしく頭を擦りながら、
 それでも神妙な口調で言うものだから思わず反応してしまった。
「ああそう。そのままなってれば良かったのに」
「でも不思議なんだ、その時頭にあったのは何故かユーの事なんだよ。
 アマテラス君の事でも、タカマガハラの事でもなくて」
「……」

 べちょっ。 (黄金の桃投げつけられた)



「くぅん?」
「ごめんなさい慈母〜黄金の桃を手違いで使ってしまって、今取りに行くんです。
 あ、お散歩がてら一緒に行きましょうか?」
「わんっ」



大神ラストを見て思わず書いてしまったウシワカ
前<< 戻る >>次