シリフ霊殿
Schild von Leiden

管理者
「ティエ、ちょっと」
 パスワード画面を一度落とし、こつんと一つ液晶画面を叩いてティエリアを呼び出す。
『何だ』
「あんたのパーソナルデータが閲覧出来ないんだけど」
『ああ、僕の方で閲覧を禁止している』
「おい」
 何つう職権濫用だよ。
 他のクルーは全員簡単に閲覧出来んのに自分だけプライバシー主張ってお前。
「見せて下さい」
『駄目だ』
「生体データが見れないと貴方の身体が作れません」
『後で生体データのみ提示する。それでいいだろう』
「えー」
『何が不満なんだ……』
 いや、別に生体データさえあれば作業そのものに支障は無いんだけれどもさ。
 貴方がこっそり管理者権限発動させてまで隠したその内容を見てみたくないといえば嘘になる訳でして。
 何だろう何を見られるのが嫌で閲覧禁止にまでしたんだろう。
 知りたくないですか。
「という訳で何が理由で閲覧禁止になっているのか知りたいです」
『……』
 あっ、今すっごい溜息吐いた。
『……君は、考えた事なんか無いだろう』
「何を」
『ヴェーダと一体になった途端、自分の記憶が感情信号ごとパーソナルデータに追加されているなんて……!』
「……」
 えーと、確かに実感を伴ってはあんまり感じられませんけれども。
 あれかな、恥ずかしいポエム日記をネットに流されたみたいな感じ。
 その時刹那にうにゅうにゅとかロックオンにもにょもにょとか。
 そりゃー確かにどんな手使ってでも隠したくなりますわな。

「じゃあまぁ、しょーがないか。流石に可哀想だしね」
『……君が鈍くて助かった』
「?」



ダブルクロスのDロイスをお題にした企画。劇場版見てないけどどうやって身体作ったのかな
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