「あれ、あたしのおニューのドリンクボトルが無い」
確かにここに置いておいたのですけど、誰か間違えて持って行きました?
「どんなボトル?」
スメラギさんがその辺をきょろきょろ探してくれながら聞いてくる。
「紫の地にピンクで模様が入ったボトルです」
「……何だかティエリアみたいな配色ねぇ」
「ええ、私も買ってからそう思いました」
ただボトルの模様が紫にピンクのうさちゃんだったもので、
店頭で見かけた時一発で奴と結びつける事が出来なかったんです。
奴をあんな放っておくと寂しさで死ぬような生き物と同等に見れる訳が無い。
もし奴が兎耳生やして寂しがろうもんなら私は……あ、ちょっと見てみたいかも。
「えっごめん、あれ#ナナのだったの?ティエリアにだと思って渡しちゃった」
そっか犯人はクリスかー間違えたんじゃしょうがないなぁ。
……ティエリア『の』じゃなくてティエリア『に』なのが引っ掛かるけど。
「ティエリア飲んじゃった?」
「飲んだ所は見てないけど……何々、間接ちゅー恥ずかしい?」
「いや、別に」
私がそんな事を一々恥らうとでも?
というか、あんな未だに性別が判然としない奴と間接ちゅーなんかしてもねぇ。
そもそも私まだあのボトルに口付けてないし。
「中身は普通のドリンクなんでしょう?」
「うんまぁ、ドリンクといえばドリンクなんだけどね」
ほら、あたしこの間地上行って帰って来た所じゃないですか。
「あれの中には後で薄めて飲もうと思ってたカルピスの原液が」
ぷしゅん、と静まり返ったコックピットに響くドアの音。
「モレノさん居ないかな?ティエリアが廊下で気分悪そうにしてるんだけど」
「……うんえーと、とりあえず水持って行ってあげてアレルヤ」
ボトルドリンクってすごく見分けが付け辛そうだと思って