シリフ霊殿
Schild von Leiden

晩夏のある日
「「暑ィ」」
 見れば分かります。
 残暑の厳しいある秋の日、縁側にごろりと寝転がってアイスくわえて唸るいい大人×2。
 ……まぁ、厳密に言うと二人ともまだ未成年な訳だけど。
 沖田さん、そのまま転がってくと庭に落ちちゃいますよ。
 #奈々さん、合わせ目きちんとしないとパンツ見えますよ。
「「山崎何やってんの?」」
 こちらに首だけ向けて聞いてくるその仕草は瓜二つ。
「庭に水まいてるんです」
 見れば分かるでしょ。
 言った瞬間目の色変えてこっちを睨んでくるあたりも瓜二つ。
 沖田さん、瞳孔開いたままこっち見ないでください。
 #奈々さん、上目遣いで何かを訴えるのはやめてください。
 二人ともいい大人なんだから。
「「テメー一人だけ涼んでんじゃねーぞコノヤロー!!」」
「わ、わ、ちょっと二人とも何やって……」


 ―――びしゃぁぁぁ。


 違った。
 いい大人なのは俺だけだった。





「……へぶしッ」
「ちょっと何すんの山崎ー」
「こっちの台詞ですから」
 あっという間に濡れ鼠が三匹。
 残暑の厳しいある秋の日、庭でびしょ濡れになって口論しあういい大人×3。
 また間違えた、いい大人は俺だけなんだった。
 これでも。
 「……#奈々、その胸の幾何学模様何でィ」
「あ、透けてる?今日の下着はほるすたいんなのさー♪」
「テメー男の夢奪うシロモノ着てんじゃねーやィ!!」
「いーじゃん別にぃ、ほらサービス」
「お、デケェ」
「でしょ」
「ちょ、マジで揉ましてくんねコレ」
「やだ、たれる」
「〜#奈々さんっ!仮にも年頃の娘が男の前で胸はだけるなんてはしたないですよっ!!」
「いーじゃねーかィ山崎、揉ませてくれるって#奈々が言ってんだから」
「いや、揉んでいいとは言ってないよ?」
「沖田さんも悪乗りしないで下さい!!」
「何々硬いなー山崎、ほら山崎にもサービス」
「いりませんから」
「アレ、山崎はスレンダーの方が好みだった?」
「そういう問題じゃありませんから!!」
「何でィ山崎、女は胸よりあっちの具合派?」
「――――――――ッ!!!」



 限界だった。


「……行っちまったなァ」
「行っちゃったねぇ」
「厠の戸に頭ぶつけてなかったか、アレ」
「ぶつけてたねぇ、アレ」
「遊びすぎたと思うかィ?」
「べつにー」
「んじゃ揉まして」
「しばくぞ」



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