うちの城主はよく眠る。
と言っても夜は遅くまで執務をし、朝は日の出る前に起きるから、
眠ると言うのは昼寝の話だ。足りない睡眠時間を補っているのだろうか。
けれども当然家臣の前で寝こけるような無様な事はしない。
彼が眠るのは仕事が一段落した後、縁側で彼の妻と二人きりで居る時。
妻というのは何を隠そう私だ。
「……」
折角の二人きりなのに、とは思わない。
彼がこうして気を許すのは、私の前だけだろうから。
ただ。
「うーん……」
膝枕で眠る元就様の髪を手持ち無沙汰に撫でながら思う。
他者への警戒心の強さと、その癖の特定の人物(私)の前での無防備さ。
日に当たりながら眠る時のくつろぎっぷり。
そしてこの毛……髪質。
(……猫みたい)
犬か猫なら元就は猫だと思います