シリフ霊殿
Schild von Leiden

うつつの夢幻
 ばしん、と何かで頭を叩かれる。元就様の平手だと分かるのに少しかかった。
「起きよ」
 目を開けると一面の緑。ああエコの色ですね素晴らしいですね。
 それがどうした。
「貴様、合戦の本陣で居眠りとは良い度胸だな」
 死ぬ気かと聞かれたから、眠い目を擦りつついーえと答える。
「何ですかもう敵さんすぐそこまで来てらっしゃるんですか」
「今斥候を遣った所だ。戻って来るまで半刻はかかろう」
「ああ、じゃあ後一刻は寝てられますね」
「……何故一刻とみる」
「斥候が戻って来るのに半刻、元就様が今回の策を練り終わるのに四半刻、
 両陣営が支度を整えるのに更に四半刻はかかるかと」
 それとももっとですか。 
 茶化して言うと元就様はふんと言ったきりそっぽを向いた。
「貴様のような人間に毛利の血が流れているかと思うと頭が痛くなる」
「ぷぷっぴ☆どぅ」
「褒めておらぬぞ」 
「よく今ので俺が喜んでるって分かりましたね」
「貴様との付き合いも長いからな」
「そーいやそうですね」
 我ながらよく今までこの人に首を切られずに生きて来られたもんだ。
 いや、言ったらそれこそ今すぐ首を切られるな。
 だから言わない。
「で、今回俺は何処行きでしょう。前線ですかそれとも一番槍ですか」
 いくら表面上怒ってなさそうとはいえ、相手は元就様だ。
 済ました顔して死地に送られた人間はそれこそ星の数ほど知っている。
 それは免れても一週間城内で雑用なんかはさせられるかもしれない。
 元就様はふむ、と考える素振りを見せた。
 何処とは言えないが何処となくわざとらしい。
「では今夜我の寝所に来い」
「……はい?」
 危うく武器を取り落とす所だった。
「ええと一応聞きますが寝所で一体何を」
「無粋な事を申すな。貴様を寝所に呼ぶとなればする事は決まっておろう」
「ああ、肩叩き」
 無理矢理茶化した俺の首元に、ひやりとした輪刀が突きつけられた。





 ひやりとした冷たいものが首元に当たる。定規だと分かるのに少しかかった。
「起きよ」
 それがどうした。
「貴様、会議の最中に居眠りとは良い度胸だな」
 目を覚ましてくるかと聞かれたから、眠い目を擦りつついーえと答える。
「何ですか予算会議もう終わっちゃったんですか」
「今大体の案がまとまった所だ。これから最終的な議論に入る」
「ああ、じゃあ後一時間は寝てられますね」
「……何故一時間とみる」
「生徒会内で案がまとまるまで三十分、部長会の面々に行き渡るのに十五分、
 毛利会長が部費を減らした部への言い訳を考えるのに更に十五分はかかるかと」
 それとももっとですか。 
 茶化して言うと毛利会長はふんと言ったきりそっぽを向いた。
「貴様のような人間が我の親戚かと思うと頭が痛くなる」
「ぷぷっぴ☆どぅ」
「褒めておらぬぞ」 
「よく今ので俺が喜んでるって分かりましたね」
「貴様との付き合いも長いからな」
「そーいやそうですね」
 我ながらよく今まで生徒会を首にならずにいられたもんだ。
 いや、言ったらそれこそ今すぐ首になるな。
 だから言わない。
「で、今回俺は何をするんでしょう。連絡係ですかそれとも苦情係ですか」
 いくら表面上怒ってなさそうとはいえ、相手は毛利会長だ。
 済ました顔して面倒な仕事を押し付けられた奴はそれこそ星の数ほど知っている。
 それは免れても一週間生徒会室で雑用なんかはさせられるかもしれない。
 毛利会長はふむ、と考える素振りを見せた。
 何処とは言えないが何処となくわざとらしい。
「では今夜我の部屋に来い」
「……はい?」
 危うくペンを取り落とす所だった。
「ええと一応聞きますが部屋で一体何を」
「無粋な事を申すな。貴様を部屋に呼ぶとなればする事は決まっておろう」
「ああ、マッサージ」
 無理矢理茶化した俺は頭を会議録で思い切りひっぱたかれた。



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