シリフ霊殿
Schild von Leiden

きっと楽になれるのに
 張り裂けそうな表情、と表現すればいいんだろうか。
 今にも泣き出しそうな、けれど決して泣かない、泣いてはいけないと決めた表情。
 毎度毎度思うのだけれど、お侍ってどうして泣くのが嫌いなんだろう。
 身体が痛くたって心が痛くたって、頑なに涙を流す事を拒む。
 それが恥だとでも思ってるんだろうか。
 自分はこんなにも弱いと周囲にさらけ出すその行為を。



「つまんないね」
「……何がだ」
「いっそ私の胸に顔を埋めてみますか。大丈夫誰も見てねえよ俺だけだとか言って」
「……」
「こう、あれですよ、僕の胸でお泣きよ的な」
「……」
「ごめんあの、ほんと、冗談だからさ……その目止めて下さい」



元就は感情表現が苦手なだけだというドリーム
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