シリフ霊殿
Schild von Leiden

つまり貴方の中には雌が
 これからこの城で妙な事があったら大抵城主のせいだと思った方が良いね。
 (例えばこないだの宗教洗脳の件だとか)
 どーもこないだからけふけふけふけふ妙な音がすると思ってたら、
「あんたの咳だったんですか、あれ」
「黙れ……」
「黙りません」
 良いネタになるから。



 治療の為に湯気が立ち込めた部屋に、あたしと元就さんの息遣いだけが響く。

「はい?」
「出ていろ。移る」
 おや、貴方にしては珍しいお気遣いの言葉。
「大丈夫大丈夫、知ってます?
 風邪の原因となる病魔には実は雄と雌がいて、それぞれ異性にしか取り付かないんだそうですよ。
 だから元就さんの風邪はあたしには移りません」
「む……それは我の知らぬ知識だな」
「そりゃーそうですよ、何てったってあたしが今考え出した知識ですからね」
「……」
「うわ、湯呑み。ちょ、湯呑みはないんじゃないですか元就さん」
「煩い」
 つか、熱出してぜーはー言ってる割に元気あるじゃないか。



この嘘をどこで聞いたんだったか忘れました
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