シリフ霊殿
Schild von Leiden

名称不明
「無い、無いーっ!」
 どたばたと騒ぐのが聞こえたので怒鳴ってやる心算で障子を開けた。
 実際五月蝿い!とまでは怒鳴ったのだから心算というのも可笑しな話だが、
「あっ元就丁度良い所に!あたしのあっぱっぱ知らない?」
「あっぱ……?」
 彼女の口から発せられた珍妙な単語を聞いた瞬間に、
 次に言うべき文句が吹っ飛んでしまったのだから仕方があるまい。
「洗濯したのをここに置いといた筈なのに無いんだよー!」
「……貴様、今何が無いと言った?」
「だから、あっぱっぱ」
「何だそれは」
「え、あれあっぱっぱっていうんじゃないの?
 こう、あの、襦袢みたいに一番下に着るさあ……大抵白い晒しで出来てるやつ……」
「肌襦袢の事か?」
「分かんないけど多分それ!元就知らない!?」
「……知らぬわ……」
 とりあえずその何とやらは無くても良いから何か着ろ。



私の周囲全体的に着物の下着をあっぱっぱと余分ですが方言なんだろうか
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