シリフ霊殿
Schild von Leiden

実験体
「ほんの好奇心なのですよ」
 好奇心というより、戯れ。
 自分の身体は一体何処まで苦痛に耐える事が出来るのかと、試した。
 加減が出来るように、自分で自分の身体を痛めつけるという形で。
「その時は考え付かなかったのですが、
 人間というのは脱却出来ない状況下に置かれるとそれを享受してしまうのですね」
 苦痛が快感に変わり始めるのにそう時間は掛からなかったという。
 この快感は果たして痛めつけている自分にか、それとも痛めつけられる自分にか。
 そこで今度は、どちらに快感を感じているのか調べた。
 別々に行為が行えるように、他人を使って。



 結果は両方共『是』であった。





「・・・で?」
「それだけです」
 人から狂人と呼ばれている青年はそう言ってにっこりと笑った。
 そうしていると普通の精神状態であるように見える。
「私はただ自分の知的好奇心を満たそうとしただけ。罪は無いでしょう?」
「・・・」
「ああ、私貴女のその目がとても好きです。堪らない」



ダブルクロスのDロイスをお題にした企画
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