シリフ霊殿
Schild von Leiden

07.閑話・華原涼太
「……愛されてますね」
 研究室の掃除をしていた涼太が唐突にそんな事を言った。
「何の話だい?それから、私に敬語は使わなくていいよ」
「あ、はい……何だか、皆貴女の事が好きでここにいるんだなあって思って」
「それは勿論、皆私のドールだからね。雇い主には好意を持っていて貰わないと」
「少し不自然なくらいだと思うんだ。朔夜なんか、僕に初めて会った時すごい勢いで睨んで来たし……」
「ああ、彼は少し焼餅焼きなんだ。気にしなくていいよ」
「でも貴女は僕達にとってただの雇い主なんでしょう?あれじゃあまるで……」
「おっと」
 危険な単語を言う前に、私は涼太の唇に指を当てて黙らせた。
「知り過ぎない方が幸せな事もあるよ、新入り」



いつでも続きが書けるように伏線だけ張っておきます
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